Ⅰ 労働者派遣事業とは
派遣元事業者が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令をうけて、この派遣先のために労働に従事させることを業として行うことをいいます。
ただし①港湾運送事業 ②建設業務 ③警備業務 ④医療関係(一部除く)の4つの業務は労働者派遣を行ってはなりません。
労働者派遣と混合されやすいものに「請負」があります。「請負」は派遣と違い、注文者と労働者との間に指揮命令関係が生じない、という点にありますが、この区分の実際の判断は、必ずしも容易ではないことから、この判断を明確に行うことができるように「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)が定められています。
Ⅱ定労働者派遣と一般労働者派遣の違い
<特定労働者派遣事業>(届出制)
(平成27年9月30日以降は特定労働者派遣事業の届出はできません。平成30年9月29日までに一般労働者派遣事業許可を取得しなければ労働者派遣事業を行うことができなくなります。)
派遣される労働者が、派遣元に常用雇用される者のみである場合を「常用型派遣」といいます。この常用型派遣のみを行う場合は「特定労働者派遣事業」の届出が必要になります。
<一般労働者派遣事業>(許可制)
派遣される労働者をあらかじめ派遣元が登録しておき、派遣時に一定の期間を定めて、派遣労働者を雇用する場合を「登録型派遣」といいます。
この「登録型派遣」を行う(「常用型派遣」も行う場合も含む)場合は「一般労働者派遣事業」の許可が必要になります
Ⅲ 許可の有効期間
種類 | 区分 | 有効期間 |
一般労働者派遣事業 | 新規 | 3年間 |
更新 | 5年間 | |
特定労働者派遣事業 | 新規 | 定めなし |
Ⅳ 許可の要件
(1)一般労働者派遣事業
以下、主な要件のみを列挙します。
①派遣元責任者の選任、配置
- ・成年に達した後、3年以上の雇用管理の経験がある者
- ・「派遣元責任者講習」を受講した者
- ・苦情処理等の場合に、日帰りできる地域に労働者派遣を行う者であること
②派遣元事業主が派遣労働者の福祉の増進を図ることが見込まれる等適正な雇用管理を期待しえるものであること
- ・労働保険・社会保険の適用
③派遣労働者のキャリアの形成を支援する制度を有すること
- ・派遣労働者のキャリア形成を念頭に置いた段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画を定めていること
- ・キャリア・コンサルティングの相談窓口を設置していること
- ・キャリア形成を念頭に置いた派遣先の提供を行う手続きが規定されていること
- ・教育訓練の時期・頻度・時間等
- ・教育訓練計画の周知等
④個人情報を適正に管理し、派遣労働者の秘密を守るために必要な措置が講じられていること
- ・個人情報適正管理規定の定め
⑤財産的基礎に関する判断
- ・資産の総額から負債の総額を控除した額が2,000万円に当該事業主が一般労働者派遣事業を行う事業所の数を乗じた額以上であること
- ・上記の基準資産額が、負債の総額の7分の1以上であること
- ・自己名義の現預金の額が1,500万円に当該事業主が一般労働者派遣事業を行う事業所の数を乗じた額以上であること
⑥組織的基礎に関する判断
- ・登録者数300人当たり1人以上の登録者に係る業務に従事する職員が配置されていること
⑦事務所に関する判断
- ・面積がおおむね20㎡以上あること
(2)特定労働者派遣事業
基本的には一般労働者派遣事業の許可基準に準じますが、派遣元責任者の「3年以上の雇用管理経験」「派遣元責任者講習」、財産的基礎、組織的基礎、事務所に関する判断、は除かれます。
Ⅴ 申請手数料
種類 | 区分 | 金額 |
一般労働者派遣事業 | 新規 | 120,000円+55,000円×(事務所数-1)の収入印紙 90,000円の登録免許税 |
更新 | 55,000円×事業所数の収入印紙 |
Ⅵ 報酬額
業務名 | 報酬額(税別) |
一般労働者派遣事業 新規許可申請 | 180,000円~ |
〃 更新許可申請 | 100,000円~ |
労働者派遣事業 各報告書届 | 30,000円~ |
各種変更届 | 15,000円~ |